ツイノベとかのまとめ

twitterで投稿したツイノベをまとめています(@ukeiregaohayai)

記憶は遠い蜃気楼のようだ。時が経つにつれて曖昧に揺らめいて、私の心の弱い部分が、なにかを忘れさせようとする。叶えられた思い、代わりに傷つけたもの。何かを守ろうとする強い力は、別の何かを破壊する力になる。私の中の龍が、力が吼える。忘れていい記憶なんて、きっとひとつもない。

ダリウス

紫煙をくゆらせるダリウスというのも妙に絵になる。「ダリウスって吸うの?」「必要があれば嗜まれることもありますよ」部屋で見つけた年代物のパイプは上品な艶があって、なめらかなその形はどこか色っぽさも感じる。「……というか、何持っても色っぽいし」「おや、誰の話かな。妬けるね」

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天真

嗅ぎ慣れない匂いが鼻をくすぐった。俺が怪訝そうにしていると、貰った香水使うの忘れてたの、と「牛乳買い忘れた」みたいなノリで軽く言ってのけた。いつ、誰から、なぜ受け取ったんだ。人の感情に敏感なくせに、自分は気まぐれにその心の色をころころと変える。悪戯な香りに目眩がした。

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パワーバランス(おべいみー/ルシファー)

 書斎のドアをノックすると、返事より先に名前を呼ばれた。
「よく分かったね」
「どうせみんな酔いつぶれたんだろう」
「……よく分かったね」
「俺を誰だと思ってる」

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政虎

「ルード、お前腕落ちたか」「勝手に邸に上がり込んだのは悪口を言うためですか」「ルードの料理は絶品だよ、俺が保証する」コハクもフォークをくわえてきょとんとしている。「変わったのは料理じゃない」と言いながら、ダリウスはキッシュを口に運ぶ。「虎、君が毎日食べているのは誰のお手製だい?」

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