ツイノベとかのまとめ

twitterで投稿したツイノベをまとめています(@ukeiregaohayai)

アシュヴィン

腿を滑る褐色の手に、体が跳ねる。「怖いか」「あなたを恐れたりしないわ」毅然と言い放つつもりだった台詞は、きっと震えて聞こえただろう。私の言葉は半分本当で、半分嘘だった。顕わにされた素肌に触れる生温かい感触がもどかしい。なにか。何か奥のほうから、なにかが私を喚んでいる。


望むのは両手いっぱいの花か。輝く装身具か。歯の浮くような甘い言の葉か。欲するものすら分からず、岩戸はなおも堅く閉ざされている。何を以てすれば、今一度金の髪を拝めるのだろう。「俺がお前の夫で、お前が俺の妻でなければ」そうでなければ、あの月の夜から、俺などはもうとっくに。