ツイノベとかのまとめ

twitterで投稿したツイノベをまとめています(@ukeiregaohayai)

アーネスト

紅茶のカップを手にした彼女が、湯気越しに部屋を見回している。「いろんなものが飾ってある……骨董品?」「ええ、私とパークスさんの好みで。新品よりも味があるでしょう。記憶が染み込んでいるようで」人の記憶。時の記憶。彼女と二人で過ごすこの時間も、きっと宿っていくのだろう。


アーネストの寝顔を見るのは初めてだ。ソファに大きな体を横たえて、片腕を額に乗せた格好で熟睡している。テーブルに水差しを置くと、その音に反応したのか手がぴくりと動いた。「……ゆき」アーネストは寝起きの顔を両手でこすりながら、ゆっくりと体を起こす。「おはよう、アーネスト」


行かないで。違う。行きたくない。誓ってなんかない。誓っていなかったのはあなた。誓っていなかったのは私。違うの。ねえ。「――ゆき?大丈夫ですか」肩を揺すられて目が覚める。少し眠たげな瞳が、心配そうにこちらを覗き込んでいる。「うなされていましたよ」「……悪い夢を、見たの」