ツイノベとかのまとめ

twitterで投稿したツイノベをまとめています(@ukeiregaohayai)

アスモデウス

やっぱりジェルは人間界のサロンのほうが出来が良い。複雑な心境で爪を眺めていたら、伊吹が「アスモが監修すれば魔界のサロンも大人気になりそう」と呟いた。もしぼくがその指先を彩れるなら、オフする時にもまた温もりに触れられる。「…じゃあ伊吹はぼく専用の練習台ね♡」「えぇ~…?」



「そんなことしないで」伸ばしかけた私の手を制する声は、なぜか少し怒っていた。「大切なぼくの大切な伊吹なんだから、大切にして」訳がわからず訊ねると、耳に吹き込まれる「君はどろどろに溶けてればいいの」という命令。悪魔の強烈な甘やかしは、自分の形まで分からなくなる媚薬だった。


「伊吹って、結構どんな色味でも似合うよね」ぼくがなんでも着こなせるのは当然だけど、と前置きして、アスモは私の服装を(おそらく)褒めた。「悪魔は肌の色に変化があったりするけど、ソロモンはいかにもブルベだし……君ってほんとのほんとに人間?」種族を疑う根拠はイメコンらしい。


「香水変えた?」その日香ったのは、ぼくの中の伊吹よりもずっと大人な香りだった。「このあいだ教えてもらった店で、店員さんと相談して買ったんだ」ぼくなら絶対に選ばない香り。けれど、決して違和感があるわけではなかった。「伊吹も大人になったねぇ……」「……どこから目線なの?」