めぐる日々(遙か2/泰継)
「今日は何時に帰ってくる?」
「十八時頃ですかねえ。図書館で調べものしたいのでもう少し遅くなるかもしれません」
「……」
「もう、どうしたら納得してくれるんですか」
香り(遙か2/泰継)
同じシャンプーなのに違う香りになるのはなぜだろう。指の間をすり抜ける滑らかな髪。甘い香りが鼻腔をくすぐる。
続きを読む朝を迎える魂魄(遙か2/泰継)
人は夜、眠って心身を休めるのだと言う。休めるべき心を持たず、三月の間眠らない身体は、この都の空白を持て余す。
続きを読む雨と櫛(遙か2/泉水)
「そうだ、ねえ紫姫、これ見て!」
「まあ、素敵な櫛ですね」
ある雨の夜。南方に遠出することになっていた花梨と泉水は、方違えのために紫姫の館で一晩を過ごすこととなった。
天海
「ドキドキしすぎて死んじゃうんじゃないかと思った」と言ったら、天海は大真面目な顔で「止めは私にささせてくれますか」と言った。その表情と、同時に与えられた深い口づけの性急さに驚いて、思わず答えに詰まる。「とどめって」「私という存在は、君を死に至らせられぬのでしょうか」